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会長挨拶

第40回日本救命医療学会総会・学術集会にご参加の皆様へ

このたび、第40回日本救命医療学会総会・学術集会を、2025年11月7日に佐賀県佐賀市の佐賀メディカルセンター城内記念ホールにおいて開催いたしますことをご案内申し上げます。
本学会は、日本救命医療学の発展とともに、多くの先生方とともに歩みを進めてまいりました。本年のテーマは「臓器の智慧~日本の七賢人と共に歩む臓器障害の展望」といたしました。このテーマは、幕末期に佐賀から生まれた偉大な思想家たち「佐賀の七賢人」にちなみ、現代医療における臓器障害の最前線でご活躍されているエキスパートの先生方とともに、新たな展望を切り開く意図を込めて設定いたしました。
佐賀の七賢人とは、旧佐賀藩出身で幕末から明治にかけて活躍し、日本の近代化に大きな足跡を残した7人の偉人を指します。その中の一人である鍋島直正は、藩政改革に尽力し、日本初の種痘を藩内に導入するなど、公衆衛生の発展にも寄与しました。この取り組みは、感染症予防の先駆けとなり、現代医療にも通じる重要な業績として評価されています。
また、佐野常民は日本赤十字社の創設者として、人道主義活動の基盤を築きました。その理念と行動力は、救命医療における患者支援や災害医療の重要性を再認識させてくれるものです。さらに、大隈重信は政治家として日本の近代化を牽引し、教育分野でも大きな功績を残しました。島義勇は北海道開拓の父として知られ、未開の地での基盤構築に尽力しました。その実践力は、未解決の課題に挑む医療の姿勢にも通じます。
加えて、大木喬任は教育行政の先駆者として、日本の学制発布に寄与し、知識の普及と人材育成を推進しました。江藤新平は近代司法制度の基礎を築いた「日本司法の父」として知られ、その改革精神は現代社会においても学ぶべき点が多いと言えます。また、副島種臣は外交官として日本の国際的地位を高めることに尽力し、その先進的な視点と交渉力は、医療分野での国際連携を考える上での示唆を与えます。
これらの賢人たちの中には、個人の信念と強い指導力で困難に立ち向かった人物が多く、救命医療において重要なチームワークやリーダーシップの在り方を学ぶことができます。彼らの功績は、現代の私たちが直面する課題に対するヒントを提供してくれるものです。
このような七賢人の功績と精神は、医療に携わる私たちにとっても多くの示唆を与えてくれるものです。この歴史的背景を踏まえ、私たちは救命医療の課題である臓器障害について新たな視点を共有し、未来への道を切り拓きたいと考えております。
臓器障害は、本学会が設立された当初からの重要なテーマであり、救命医療の根幹をなす課題の一つです。今回は、その歴史を振り返りつつ、未来を見据えた議論を深める場として、また学会の存在意義と可能性を再確認する機会として位置付けています。本テーマを通じ、皆様の知見を共有し、次世代へとつながる救命医療の発展に寄与することを願っております。
佐賀の地は歴史と文化に富み、また自然豊かな環境にも恵まれております。この学会を通じて、医療の議論に加え、佐賀の魅力もぜひお楽しみいただければと存じます。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げますとともに、実り多い学術集会となりますことを祈念いたします。

 
第40回日本救命医療学会総会・学術集会 会長 
阪本 雄一郎 (佐賀大学救急医学講座 教授)